はじめに
1月5日は、「シンデレラの日」です。この記念日は、1956年1月5日に、ハリウッド女優グレース・ケリーとモナコ公国のレーニエ3世が婚約を発表したことに由来しています。人気絶頂のハリウッド女優が王子様からプロポーズされ、本当のプリンセスになった——この現代のおとぎ話は、世界中の人々に夢と希望を与え、まさに「シンデレラストーリー」の代名詞となりました。
グレース・ケリーは「クール・ビューティー」として知られ、気品に満ちた美しさで多くの映画ファンを魅了していました。映画『裏窓』『喝采』『ダイヤルMを廻せ!』などヒッチコック作品への出演で知られる彼女が、1955年のカンヌ国際映画祭でレーニエ3世と運命の出会いを果たし、わずか1年後の1956年1月5日に婚約、同年4月に「世紀の結婚式」を挙げました。ハリウッド女優から本物のプリンセスへ——この現実離れした物語こそが、シンデレラの日の由来です。
シンデレラの日に観る作品として、ディズニーが2001年に制作した『プリティ・プリンセス』(The Princess Diaries)ほど相応しい映画はありません。内気で冴えない女子高生が、ある日突然プリンセスだと知らされる——メグ・キャボットの同名小説を原作としたこの映画は、21世紀の完璧なシンデレラストーリーです。
ゲイリー・マーシャル監督(『プリティ・ウーマン』『プリティ・ブライド』)が描く、少女の成長物語は、単なるおとぎ話ではありません。外見の変化だけでなく、自己肯定感の獲得、友情の試練、責任と自由の選択を通じて、主人公ミアが本当の意味で「プリンセス」になっていく過程が丁寧に描かれています。アン・ハサウェイの映画デビュー作であり、彼女のスター誕生の瞬間を記録した作品でもあります。
新年の始まりに、自分自身の可能性を信じ、新たな一歩を踏み出す勇気をもらえる——それが『プリティ・プリンセス』が持つ、シンデレラの日にふさわしい魔法です。
基本情報・あらすじ
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監督: ギャリー・マーシャル
製作年: 2001年
上映時間: 115分
制作スタジオ: ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ
記念日: シンデレラの日(1月5日)
予備知識
制作背景:小説から映画へ
『プリティ・プリンセス』は、作家メグ・キャボットが2000年に発表したヤングアダルト小説『プリンセス・ダイアリー』を原作としています。キャボットのエージェントは、この小説に映画化の可能性を見出し、テレビ映画『ロジャース&ハマースタインのシンデレラ』(1997年)を最近プロデュースしたデブラ・マーティン・チェイスに打診しました。「貧困から富豪になる」「シンデレラ型」という共通テーマから、チェイスは小説を読んで気に入り、ディズニーを説得して長編プロジェクトとして実現させました。
ディズニーの会長ピーター・シュナイダーは、「実写ファミリー映画のためのディズニーブランドを再確立する努力」の一環として、このプロジェクトを承認しました。1999年8月、ディズニーは製作にゴーサインを出し、歌手ホイットニー・ヒューストンのブラウンハウス・プロダクションズと共同製作することに合意しました。これはヒューストンにとって最初の長編映画製作ベンチャーであり、彼女のスタジオにとっては『シンデレラ』に続く2作目の映画でした。
ゲイリー・マーシャル監督が起用されました。彼は『プリティ・ウーマン』(1990年)と『プリティ・ブライド』(1999年)で「プリティ」シリーズを成功させていました。マーシャルは、「少女が女性に成長し、世界に良い影響を与えることができると気づく」というアイデアに惹かれ、少女、少年、大人すべてにアピールする理想的な家族向け娯楽作品だと感じました。さらに、監督は「女性の願望成就とエンパワーメントの映画」が好きだと語っています。
興味深いエピソードとして、元の脚本に「The Princess Dairies」という誤植があり、マーシャルは牛(dairy)の映画だと勘違いして断るところでした。この映画は当初『トライベッカのプリンセス』というタイトルで、原作と同じくニューヨークを舞台とする予定でしたが、マーシャルが自身と孫娘たちの故郷であるサンフランシスコに映画を捧げたいと考え、舞台をサンフランシスコに変更したため、タイトルも元に戻されました。
キャボットは映画製作にはほとんど関わっていませんが、ストーリーや登場人物の変更について相談は受けました。彼女は「ゲイリー・マーシャルが映画を作るのに『助け』が必要だとは思わない…映画製作の経験が全くない小説家から」と述べ、創作過程から距離を置きました。日記形式で書いた300ページの小説を90ページの脚本に翻案するという難題を認めつつも、最終結果とマーシャルの演出には満足していたと語っています。
アン・ハサウェイ:スター誕生の瞬間
ジュリエット・ルイスが辞退した後、当時18歳のアン・ハサウェイがミア・サーモポリス役に抜擢されました。これは彼女にとって初の主要映画役でした。複数の有名若手女優が候補に挙がっていました。特にリヴ・タイラーが最有力候補とされていましたが、マーシャルの孫娘たちが「ハサウェイの方がお姫様のような髪をしている」と感じたため、最終的にハサウェイが選ばれました。
ハサウェイは『アザー・サイド・オブ・ヘブン』(2001年)の撮影のためニュージーランドに向かう途中、ロサンゼルスで26時間の乗り継ぎ時間を利用してオーディションを受けました。それ以前の女優としてのクレジットは、短命に終わったテレビシリーズ『ゲット・リアル!』のみでした。オーディションで緊張のあまり椅子から転げ落ちたハサウェイでしたが、彼女の生来の不器用さがマーシャルに感銘を与えたと言われています。ハサウェイはスクリーンテストを受けることなく、オーディションのみでキャスティングされました。
マーシャルは、ミアのコメディ的な側面を体現できる候補者は他にもいると考えていましたが、クライマックスのスピーチを演じるために必要な「優雅さと威厳」を備えているのはハサウェイだけだと感じました。彼女の容姿と演技は、『プリティ・ウーマン』で大成功を収めたジュリア・ロバーツを彷彿とさせ、マーシャルはハサウェイを「ロバーツ、コメディアンのハーポ・マルクス、そして自身の妹で女優兼監督のペニー・マーシャルを融合させたような人物」と表現しました。
ハサウェイは役作りのために体重を増やし、「普通のティーンエイジャー」に近づけました。彼女はミアの性格や自信のなさに共感し、高校時代のミアの内気さと自身のぎこちなさに類似点を見出しました。
『プリティ・プリンセス』は批評家からの賛否両論の評価にもかかわらず、全世界で1億6,530万ドルの興行収入を記録する思わぬヒットとなりました。この成功により、ハサウェイは稼げる女優としての地位を確立し、その後『プラダを着た悪魔』(2006年)、『レ・ミゼラブル』(2012年、アカデミー賞助演女優賞受賞)、『インターステラー』(2014年)など、数々の名作に出演してハリウッドを代表する女優の一人となりました。
興味深いことに、ハサウェイは2024年10月に『プリティ・プリンセス3』への出演を正式に発表しました。現在製作準備中で、ディズニーは2025年中の撮影開始を計画していると報じられています。23年ぶりにミアとして戻ってくる彼女の姿を、世界中のファンが心待ちにしています。
ジュリー・アンドリュースの復帰
半引退していたジュリー・アンドリュースがクラリス・レナルディ女王役に抜擢されました。これは彼女にとって『メリー・ポピンズ』(1964年)以来37年ぶりのディズニー作品への復帰となりました。
マーシャルはアンドリュースを個人的に招いて映画について話し合い、既に彼の作品のファンであったアンドリュースを説得しました。彼女は脚本を読むことなく、マーシャルとの会話だけに基づいて役を引き受けました。ソフィア・ローレンがこの役をオファーされたとの噂もありますが、マーシャルはアンドリュースが検討した最初で唯一の俳優だったと主張しています。マーシャルはブロードウェイの『マイ・フェア・レディ』(1956年)以来の彼女のファンでした。
実は、ミアの祖母のキャラクターは、アンドリュースを念頭に置いて特に拡張されました。原作小説では父親が存命で重要な役割を果たしていましたが、プロデューサーはクラリスの役を最初からアンドリュースに演じさせたいと考えたため、ミアの父親を故人にする決定を下しました。アンドリュースの関与を知ると、キャボットはこの変更を承認し、父親のセリフの多くはミアの祖母のために書き直されました。
キャリアを通じて貴族を演じることで知られるアンドリュースは、ヨーロッパの王族やイギリス王室について得た知識を演技に取り入れました。エリザベス2世自身も1年前にアンドリュースに大英帝国勲章デイムを授与していました。マーシャルはクラリスの役柄に関してアンドリュースにかなりの創造的自由を与えました。
キャボットは当初、アンドリュースは優しすぎて厳格なキャラクターを演じることができないのではないかと懸念していましたが、最終的には彼女の演技には王族らしさと祖母らしい温かさの両方が必要な組み合わせを備えていると感じました。
この映画の成功は、アンドリュースの映画界復帰につながったとされています。
ヘクター・エリゾンド:マーシャルの幸運のお守り
女王クラリスの忠実な警備責任者ジョーを演じたヘクター・エリゾンドは、ギャリー・マーシャル監督の映画作品において特別な位置を占めています。エリゾンドはマーシャルが監督したすべての映画に出演しました——『フラミンゴ・キッド』(1984年)から『マザーズ・デイ』(2016年)まで、驚異の18作品におよぶコラボレーションです。
マーシャルはエリゾンドを自分の「幸運のお守り(lucky charm)」と呼び、彼なしでは映画を作らないと公言していました。二人のプロフェッショナルな関係は、典型的な監督と俳優の関係を超え、信頼と相互尊敬に基づく深い友情となりました。マーシャルはかつて「ヘクターなしで映画は作らない。彼は僕の幸運のお守りだ」と述べています。
『プリティ・プリンセス』において、エリゾンドのジョーは静かな強さと騎士道精神を体現しています。彼のキャラクターは、クラリス女王の相談相手、保護者、そして最終的にはロマンティックな関心の対象として機能します。エリゾンドがジョーにもたらす温かさと威厳——特に女王とミアの両方への無償の愛を示すシーン——は、映画の感情的な支柱となっています。
ジョーとクラリス女王の間の心温まるダイナミクス、続編で明らかになる彼らのロマンティックな関係は、エリゾンドが控えめな演技を通じて深い感情を伝える能力を示しています。彼の存在は、マーシャルの映画製作哲学を表しています——親切、忠誠、そして愛の変容力を描くというビジョンを理解する信頼できる協力者たちに囲まれること。
『プリティ・ウーマン』へのオマージュ
この映画には、マーシャル監督の代表作『プリティ・ウーマン』への言及がいくつかあります。両作品は「ピグマリオン風の変身物語」を共有し、ヘクター・エリゾンドやラリー・ミラー(美容師パオロ役)など、いくつかのキャストを共有しています。
最も注目すべきは、ウェイターを演じたアラン・ケントが、ミアが誤ってコップを割るシーンで、『プリティ・ウーマン』でジュリア・ロバーツのキャラクターに言ったのと同じセリフ “It happens all the time”(よくあることです) を言うことです。『プリティ・ウーマン』では、ヴィヴィアンがエスカルゴを誤って飛ばしてしまい、ウェイターがそれをキャッチして同じセリフを言いました。マーシャル監督は意図的に同じ俳優アラン・ケントを起用し、ファンへの粋な計らいとしてこのシーンを再現しました。興味深いことに、ケントは続編『プリティ・プリンセス2』でも再び登場し、同じセリフを言っています。
優れている点
外見だけでない、内面の成長を描く誠実さ
多くのシンデレラストーリーは、主人公の外見が変わることで物語が解決します。しかし『プリティ・プリンセス』の優れた点は、メイクオーバーは始まりに過ぎず、本当の成長は内面にあることを明確に示していることです。
ミアの髪がストレートになり、眼鏡を外した瞬間、確かに彼女は美しくなります。しかし、それだけでは彼女はプリンセスになれません。外見が変わっても、彼女は相変わらず不器用で、失敗を繰り返します。体育の授業での大失態、パーティーでの裏切り——美しい外見は、問題を解決してくれません。
真の変化は、ミアが自分自身と向き合う瞬間に起こります。父の手紙を読み、自分が何のために生きるのか、誰のために力を使うのかを考える——その時、ミアは本当の意味で成長します。プリンセスとは、ティアラを被ることではなく、責任を引き受けることだと理解するのです。
最終的なスピーチで、ミアは完璧な姿ではありません。車が故障して土砂降りの雨に濡れ、緊張で声も震えています。しかし、その不完全さこそが彼女の真実であり、強さです。マーシャル監督は、完璧なプリンセスではなく、欠点を持ちながらも正しいことをしようとする、勇気あるプリンセスを描きました。
細部まで作り込まれた衣装デザイン
衣装デザイナーのゲイリー・ジョーンズ(以前の映画でもマーシャルと仕事をしたことがある)は、『プリティ・プリンセス』に求められる衣装の種類の多さに惹かれ、このプロジェクトを「衣装デザイナーの夢が実現した」と評しました。
クラリス女王の衣装は、ジョーンズがアンドリュースと密接に協力してデザインし、シャネル、ビル・ブラス、クリスチャン・ディオールからインスピレーションを得ています。アンドリュースが公式晩餐会で着用するガウンは中国製の手作りで、『マイ・フェア・レディ』のイライザ・ドゥーリトル役へのオマージュです。
ミアの衣装も綿密に計画されました。ジョーンズは当初、ミアを自分の体型を気にするキャラクターとして思い描いていたため、長袖やゆったりとした服を重ね着させることにしました。ミアのペリウィンクル色(淡い青紫色)の公式晩餐会用のガウンはスウェーデンのヴィクトリア皇太子妃にインスピレーションを得たもので、ジョーンズはこのドレスをルネッサンス時代と『ロミオとジュリエット』へのオマージュと表現しています。ドレスには18カラットのダイヤモンドの指輪がアクセサリーとして添えられました。
ティアラとジュエリーへのこだわりも印象的です。ハサウェイとアンドリュースのティアラは両方とも特注でデザインされ、それぞれのキャラクターの年齢にふさわしいものになるよう配慮されました。『プリティ・プリンセス』の最後の場面でアンドリュースがかぶっているティアラとジュエリーは、なんと50万ドル相当のダイヤモンドでできており、宝石商のハリー・ウィンストンから制作側に貸与されたものです。ジョーンズはハリー・ウィンストンと密接に協力していくつかのユニークな宝石を入手しました。アンドリュースを守り、毎日の終わりにすべてのジュエリーが返却されていることを確認するために、常に警備員が付き従っていました。アンドリュースのピーチタフタの舞踏会用ドレスには、4列のダイヤモンドからなる100カラットのネックレスがアクセサリーとして付けられていました。
一方、ハサウェイのティアラはかなり安価で、本物の宝石ではなくキュービックジルコニアでできていました。これは、ミアのキャラクター——まだ王位に就いていない、成長途中のプリンセス——を反映したものです。両女優が着用した王冠とティアラは、現在ウォルト・ディズニー・アーカイブに保存されており、2016年に映画の15周年を記念して収蔵されました。
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このレビューは以下の深い分析を含めて、 メールマガジンで続きを公開しています:
- 変身シーン:身体的変化以上の意味 – 外見の変化が象徴する内面の成長
- 母娘関係とレガシー – 3世代の女性たちが紡ぐ絆
- サンフランシスコというキャラクター – ロケ地が果たす物語上の役割
- 続編とハサウェイの復帰 – 20年越しのプリンセスの帰還
- 結び – なぜこの映画がシンデレラの日にふさわしいのか
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